公開日: |更新日:
粉体を取り扱う現場作業では、粉体の投入、混合、袋詰めの作業を中心に様々なリスクを伴います。
健康障害や事故を防ぐためには、危険有害性についてしっかりと理解し、作業マニュアルを守って業務にあたることが重要です。
実際にあった粉塵爆発や有害粉体の吸入など、粉体作業での事故の事例について説明していきます。
台湾にある八仙水上楽園で行われた音楽イベントでの爆発事故の事例。イベントで使った可燃性の物質が含有されたカラーパウダーが原因の事故で、負傷者約500名、死者15名発生しました。
多くのけが人だけではなく、亡くなった方まで出てしまったことから、事故の恐ろしさが伝わってきます。
薬品を製造する工程は秤量や粉砕など5工程あり、それぞれ区画された作業室で行われていたそうです。
災害時、工程検査の確認作業が手間取り、製造工程が一時中断し、薬品製造工程に従事していた作業員が手待ちとなりました。そこで、作業室内の機器整備、作業室内の床の洗浄を行うことに。
床を洗浄する作業は2名でペアになり、水道に接続したビニールホースを使って床に水をまき、各室の床に飛散した粉体を排水口へ流すのです。作業中、粉体が舞い上がるため簡易防じんマスクを着用していたそうです。
作業終了後、床の洗浄を担当していたスタッフに鼻血などの症状が見られました。耳鼻科受診をしたところ、粉体の薬品刺激による鼻出血と診断されました。
運搬やほぐしなどの作業を行う場合、粉体が飛散してしまわないように、作業時の換気や袋から出さずに粉砕できる機器の導入をするなど、対策を講じていく必要があります。 ここでは、どのような対策を行っていけばよいのか説明していきます。
安全データシート(SDS)を入手し、 常に確認できる場所に設置することが大切です。 手元にない方は、販売元に確認して入手するようにしてください。
初めて作業を行う際には、事前に危険性や適切な取り扱い方、緊急の場合の措置などについて作業関係者で確認をしてから作業に入るようにしましょう。
使用物質の見直しを行い、原料や材料をなるべく有害性の低いものに変更するのが望ましいです。作業時間や温度などの運転条件を変更するとリスクを下げられる可能性があります。その他には、保管場所や作業場の室温管理などにも留意しましょう。
装置を密閉化して暴露拡散防止に努めるようにするのも大切。粉じんが発生する場所には入室制限を設けて、担当者だけが入るようにしておくのが望ましいです。
また作業を行っていない時は、なるべく密閉度の高い蓋で装置や容器の開口部を覆うのが効果的です。 窓からの風やエアコン、扇風機などの風が入り込むと、粉じんが拡散してしまうため、なるべく風が当たらないよう注意が必要です。
装置や機械は定期的に点検を行いましょう。加えて取り扱う原材料に含有されている化学物質の危険性を考慮した作業マニュアルや非定常作業の作業マニュアルを準備しておくことが大切です。内容に作業開始前や終了後のことも含めておくのが望ましいです。
従業員への教育は、ラベル表示やSDSを用いるなど工夫するようにしましょう。 過去の事故事例やヒヤリハット事例についても共有していくと事故防止に繋がります。新人職員や配置転換時には安全衛生教育を必ず実施しましょう。
※参照元:【PDF】厚生労働省パンフレット
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/kag/pdf/taisaku/PowderLoading201903.pdf
※選定条件:「粗砕機」を取り扱うGoogle検索上位26社の中で、現在袋体のまま粗砕する機械は3種類だけになりますので、3種類の機械をご紹介します。(2021年8月3日時点)
(※1)2021年9月時点 参照元:平野整機工業株式会社 公式HP「新着情報」http://www.hiranoseiki.co.jp/news/?p=2